会社設立おめでとうございます!
さて、喜んでばかりはいられませんね。
登記が済んだら、税務署や都税事務所、労働基準監督署や年金事務所等にも届出をしましょう。
こちらも会社の登記の時と同じく、”時間をかけて頑張れば” 自分でも出来るのですが、
分からないことを一から調べて手続を終了させるのは、大変な手間がかかります。
正しい知識を持っていれば無駄な支出を抑えて、業績アップにもつながります。
税金や社会保険・労働保険に関連するものは、会社を続けていればずっと関わりますが、
”なんとなく” 済ませた結果、間違えてあとで大きなダメージになることも多いのです。
▶ 会社設立後に必要な専門家はこちら
《 税 理 士 》
税務署への届出・帳簿の作成・法人税の決算申告・給与計算、年末調整、法定調書の作成 税務上のアドバイス 等
会社設立後の税金関係の主な届出は
- 税務署へ届出書・承認申請書の提出
- 都道府県税事務所への届出
- 市町村役所への届出
等があります。税務署に限りませんが、役所に提出する書類は基本的に2部作成します。
1部だけでも受け付けてくれるのですが、それでは会社控えがありません。
ごく稀に「受け付けていません」等と、とんでもないことを言われることもあります。
以前、私自身が会計事務所に勤務していた時、実際に起こった事件です。
そんな場合でも控えがあればそちらにも受付印を押してもらえるので、証拠になります。
郵送で提出する場合も、2部作成の上、返信用封筒を入れて郵送しましょう。この場合、郵送した日をどこかに控えておきましょう。
添付書類も色々ありますし、それ以上に税金関係は1年間を通して届け出たり支払ったり期限があったりと、なかなか面倒なものです。
税務調査が入った時、社長と事務員さんだけで対応出来ますか?
いつでも相談出来るよう、税理士さんとの顧問契約を強くお勧めします。
設立後に必要になる主な税金関係の年間スケジュール
-
<毎月>
給与 源泉徴収
源泉所得税 原則納付
住民税 特別徴収
- <決算日から2か月以内>
法人税 申告・納付
消費税 申告・納付
法人地方税 申告・納付
- <1月>
源泉所得税 特例納付
償却資産税他 申告書提出
- <7月>
源泉所得税 特例納付
- <12月>
年末調整
等があります。
当事務所は「社会保険労務士事務所」なので税務に関する業務は出来ませんが、
当事務所のネットワークから信頼できる税理士さんをご紹介いたします。
《 社会保険労務士 》
労働保険・社会保険の新規適用その他の手続・就業規則の作成・給与計算・各種助成金の申請 労務管理に関するアドバイス 等
社労士は、従業員の採用から退職、会社設立から解散までの間に必要な労働・社会保険の諸手続き すべてを行う専門家です。
【社会保険関係(健康保険・厚生年金)】
会社設立後の社会保険関係の主な届出は
- 新規適用届
- 被保険者資格取得届
- 被扶養者(異動)届
- 国民年金第3号被保険者届
- 保険料口座振替申出書
等があります。
さらに詳しく…
以前に比べれば、随分と確認資料が簡素化され楽にはなりましたが、今でも個別ブースの中で年金事務所の担当者と面談しながら、色々チェックを受けたり、被扶養者の要件確認等をされたり、不慣れであれば妙な圧迫感と共に、手続完了まで時間がかかるようなこともしばしばあるようです。
また、良く書き方が分からなくて年金事務所に質問しに行ったり、その後に関係資料のチェックを受けたりということがあるので、色々整えておかなければならない書類は沢山出てきます。
社会保険の手続と同時に、労働保険の手続をされるという企業様も多いと思います。その場合、登記簿謄本や賃貸契約書、源泉所得税領収書や給与支払事務所等の開設届出書、労働者名簿、雇用契約書、賃金台帳、出勤簿等が必要です。社会保険の手続きの際にも十分資料となるので、一緒に用意しましょう。
賃金台帳は源泉徴収簿ではなく、基本給・手当・残業代・交通費等が項目ごとに記載された物を作成してください。
新規適用届の内容と被保険者資格取得届の内容に違いが生じないように。
株式会社等の法人の事業所は、全て社会保険の加入義務があります
「人を雇っていなければ、加入する必要が無い」というのは誤りで、法人であれば代表者1人でも加入しなければなりません。
また常時使用される人は、国籍や性別、賃金の額などに関係なく、すべて被保険者となります。(ただし、原則として健康保険では75歳以上の人、厚生年金では70歳以上の人は被保険者となりません)
試用期間中であっても、常時使用される場合は国籍を問わず被保険者となります。
パートタイマー等が被保険者の対象となるか否かの判断は、
同じ事業所で同様の業務に従事する一般社員の労働日数、労働時間等を基準に判断することとなります。
《判断基準》
①及び②のいずれにも該当する場合は原則として被保険者とされます。
① 労働日数:一ヶ月の所定労働日数が一般社員のおおむね4分の3以上である場合
② 労働時間:一日又は一週の所定労働時間が一般社員のおおむね4分の3以上である場合
※「4分の3以上」の判断基準はあくまでもひとつの目安であって就労形態等を考慮し、総合的に判断されます。
【労働保険関係(人を雇った時)】
人を雇った時に必要な労働保険関係の主な届出は(建設業等でない場合)
≪労働基準監督署(労災保険)≫
- 保険関係成立届
- 労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書
≪ハローワーク(雇用保険)≫
等があります。
さらに詳しく…
労災保険は個人単位ではなく事業単位で適用されます。
原則として、パートやアルバイトだとしても、労働者を1人でも使用していれば法律上、当然に労働保険に加入することとなります
(個人経営の農林水産業の一部は除く)
雇用保険は適用事業に雇用される労働者であって、65歳以上で新たに雇用される者等以外の者は、原則として被保険者(労働者)となります。
雇用保険の被保険者の範囲は次のとおりです。
- 一般被保険者(65歳未満の常用労働者)
- 高年齢継続被保険者(65歳を超えて引き続き雇用される者等)
- 短期雇用特例被保険者(季節的に雇用される者等)
- 日雇労働被保険者(日々雇用される者、30日以内の期間を定めて雇用される者)
● 31日以上の雇用見込みがある
● 1週間の所定労働時間が20時間以上である
この2つを満たせば、パートタイマーであっても雇用保険加入義務があります。
雇用保険の手続の際、確認資料として
が必要となります。この3つは法定3帳簿とも言われ、労働基準監督署の調査の時には、必ずチェック対象となります。
法定3帳簿には記載しなければならない事項も決まっており、
例えば労働者名簿であれば
- 氏名
- 性別
- 生年月日
- 現住所
- 履歴(過去の経歴)
- 雇入れ年月日
- 退職(死亡を含む)年月日とその事由
- 従事する業務の種類(30人以上の事業所の場合)
賃金台帳であれば
- 氏名
- 性別
- 賃金毎の計算期間(諸手当、賞与を含む)
- 労働日数
- 労働時間数
- 時間外労働/休日労働/深夜労働の時間数
- 賃金の種類毎の金額(基本給、諸手当)
- 控除の内容とその額
などがあります。
実際にはこれでは少し少ないかもしれません。
労働者名簿には、基礎年金番号や雇用保険の被保険者番号等も記入しておいた方が、あとあと楽かと思います。
■ 設立後に必要になる主な社会保険・労働保険の年間の手続と事務作業カレンダー
※4月昇給、7月と12月に賞与支給の場合
月 |
手続・事務内容 |
留意点 |
4 |
労働保険の年度更新手続き開始 |
3月労働分までの給与で計算をします(7/10までに提出) |
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雇用保険料免除対象者のチェック |
4/1において、満64歳以上の従業員の給料からは、雇用保険料(一般の被保険者に限る)は事業主、被保険者とも免除 |
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健康保険料率・介護保険料率の改定、控除開始 |
3月分(4月納付)から健康保険料・介護保険料が変更 |
5 |
個人住民税の特別徴収税額通知の確認 |
今年6月からの個人住民税の特別徴収税額の通知が届きます |
6 |
労働保険概算・確定保険料申告書の提出 |
6/1から7/10までに提出 |
7 |
健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届の提出 |
賞与支給後、5日以内 賞与支払予定月に賞与の支払いが無かった場合も、総括表による「不支給」の届出が必要 |
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4月の定期昇給に伴い被保険者報酬月額変更届の提出 |
該当者がいる場合(健康保険・厚生年金) |
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健康保険・厚生年金保険 算定基礎届 及び 総括表 |
4月から6月支払の給与で計算 (7/1~7/10までに提出) |
8 |
昇給後の健康保険・厚生年金保険料による控除 |
4月に昇給等で7月の月額変更届を出した人は、8月支払の給与分から社会保険料が変更 |
9 |
算定基礎届・新保険料率による変更された保険料の適用 |
控除は10月支払分の給与から。金額を確認しておきましょう |
10 |
算定基礎届・新保険料率による変更された保険料の控除 |
9月の厚生年金保険料率の改定及び定時決定に伴う、新しい厚生年金保険の保険料による控除 |
11 |
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12 |
健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届の提出 |
賞与支給後、5日以内 賞与支払予定月に賞与の支払いが無かった場合も、総括表による「不支給」の届出が必要 |
1 |
新年度の賃金台帳の準備 |
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2 |
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3 |
三六協定の更新、届出 |
4/1~3/31で提出している会社が多いです |
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健康保険料率・介護保険料率の改定 |
金額を確認しておきましょう |
■ 毎月注意する手続き
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手続・事務内容 |
留意点 |
毎月 |
給与からの社会保険料・雇用保険料の控除 |
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10日 |
雇用保険被保険者資格取得届 |
前月採用した労働者がいる時 |
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労働保険一括有期事業開始届 |
建設業等で前月以降に一括有期事業を開始している場合 |
月末 |
前月分の健保・厚年保険料の納付 |
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5日以内 |
入社 健康保険・厚生年金 被保険者資格取得届 |
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退社 健康保険・厚生年金 被保険者資格喪失届 |
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被扶養者(異動)届 |
結婚・出産 等 |
10日以内 |
雇用保険被保険者資格喪失届 |
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雇用保険被保険者離職証明書 |
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他 |
月額変更届 |
大幅に給与額が変動した時 例:昇給 すみやかに
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手続きをご自分でなさるのも良い経験だと思いますが、もしそれで肝心の事業が滞ってしまっては本末転倒です。
経営者さまには、経営者さまにしかできない大切な仕事が、他に山とあります。そしてその大切な仕事をしながら、家族と過ごす時間、プライベートな時間、新たな勉強をする時間も必要ではないでしょうか。
事業をうまく続けていくためには、一人の力だけではうまくいかないケースがほとんどです。
任せられる仕事は任す。自分一人で全てを抱えこむのはやめましょう。
まずはご相談ください